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都市内分権、地域自治区


今なぜ、都市内分権か

 市町村合併や中心都市への人口集中などにより、効率的な行政経営の可能性が高まる一方で、住民と基礎自治体との距離が遠くなり、住民自治が形骸化するという問題が意識されるようになっています。
  地方自治には「団体自治」と「住民自治」の二つの側面があるといわれます。1990年代半ばからの地方分権改革のなかで、国から自治体への権限委譲によって団体自治はある程度強化されましたが、住民自治の充実はこれからが本番です。
  住民自治の充実において、国際的にも切り札として注目されつつあるのが都市内分権(自治体内分権)、近隣政府などと呼ばれる仕組みです。これは、基礎自治体の内部をいくつかの区域に分け、それぞれに公選制の議会を設置して、市の決定権の一部を委譲するものです。
  市民フォーラム21・NPOセンターは、自治体において行政経営や住民自治の充実が進むことが自治体とNPOの望ましい関係のための大前提だと考え、その一環として都市内分権についても研究を進め、各自治体へ提案してきました。住民自治の充実に意欲をもつ自治体の取り組みに協力させていただけることを期待しています。


都市内分権の現状

 日本でも、市町村合併がある程度進んだことを踏まえて、2004年に地方自治法や合併特例法などの改正で「地域自治区」「合併特例区」の制度が導入されました。そこには首長が選任する「協議会」が設置され、首長に対して意見を述べる権限が与えられています。
 新潟県上越市では、2005年2月に地域協議会の委員を事実上の選挙(準公選)で選んだ事例が生まれ、公選制の議会への一歩が踏み出されましたが、 2009年の二回目の選挙では定員よりも立候補者が少なく選挙は行われませんでした。その原因としては、予算などの決定権限が与えられていないという点もあると考えられます。選挙と権限付与はセットであるべきです。
 今後の日本では、地域自治区制度を基礎にしながらも、より踏み込んで公選制の議会が一定の決定権限を行使する本格的な都市内分権(近隣政府)をめざすべきです。
 そうした本格的な都市内分権は、イギリスのパリッシュ、イタリアの地区評議会、スェーデンの地区委員会、ドイツ(ミュンヘン)の市区委員会、アメリカ(ロサンジェルス)の近隣議会など、多くの事例があり、国際的にみれば決して特殊な制度ではありません。
 なお、日本においては、伝統的に町内会、自治会などの地縁組織が存在しています。これらの組織は地域の諸問題に取り組む日本の伝統に根ざした重要な組織ですが、住民全員が納得する民主主義的な決定を行う組織ではありません。「全戸加入」を強制することは法的にも現実的にもできませんし(加入率は全国平均で約90%)、一人一票ではなく一世帯一票というのも地域の公的な決定機関としては問題があります。
 むしろ、公選の地域議会を設置し、公的な決定はそこで行う仕組みが確立されれば、それとの対比で、町内会、自治会などの組織は地域の自主的な活動組織としての性格が明確になると考えられます。そうすれば、地域ために貢献したい人たちが自発的に加入して活動する有力団体として、自主財源(町内会費など)での活動に加えて、自治体や地域議会で決定された公的事業の受託者としての活動においても大きな役割が期待されることになるでしょう。


活動実績

三豊市まちづくり推進隊設立運営支援

NPOと行政の協働推進支援委託事業(東海市地域コミュニティモデル事業)

豊明市地域別計画策定支援


各国の都市内分権の文献

  • 後房雄編『地域自治組織から近隣政府へ ? 地域自治区、町内会、NPO』市民フォーラム21・NPOセンター、2007年
  • 日本都市センター編『近隣自治の仕組みと近隣政府』日本都市センター、2004年
  • 日本都市センター編『自治的コミュニティの構築と近隣政府の選択』日本都市センター、2002年
  • 岡田知弘・石崎誠也編著『地域自治組織と住民自治(地域と自治体第31集)』自治体研究社、2006年
  • 前山総一郎『アメリカのコミュニティ自治』南窓社、2004年
  • 前山総一郎「アメリカにおける『ネイバーフッドカウンシル』の構築」、『コミュニティ政策4』東信堂、2006年
  • 石平春彦「住民主権に基づく都市内分権の新たな展開と制度改革の課題 
     ?上越市における地域協議会委員の選任投票制度を例として」、『年報自治体学』第19号、2006年
  • 『月刊自治研』2007年8月号(〔特集〕準自治体・考)
  • 竹下譲『パリッシュに見る自治の機能』イマジン出版、2000年
  • 山田光矢『パリッシュ ? イングランドの地域自治組織(準自治体)の歴史と実態』北樹出版、2004年
  • 名和田是彦『コミュニティの法理論』創文社、1998年
  • 名和田是彦「日本型都市内分権の特徴とコミュニティ政策の新たな課題」、『コミュニティ政策4』東信堂、2006年
  • 槌田洋『分権型福祉社会と地方自治』桜井書店、2004年
  • ルーカス、プール『パリッシュ政府百年史1894年?1994年』自治体国際化協会(http://www.comune.torino.it/decentr/
  • 『イタリアおよびスウェーデンにおける市町村の合併と近隣自治機構(1)(2)』自治体国際化協会、2002年

アメリカの都市内分権の事例

ロサンゼルス市

近隣議会検討委員会
Neighborhood Council Review Commission, The Neighborhood Council System:Past, Present, & Future, Final Report, September 25, 2007.

近隣強化局

ニューヨーク市

コミュニティ・ボード

シアトル市

近隣局

タコマ市

近隣議会

ポートランド市

近隣組織(neighborhood association)

近隣連合(neighborhood coalition)

イタリアの都市内分権の事例

ボローニャ市

レーノ地区評議会(consiglio di quartiere)

トリノ市

トリノ市憲章

地区評議会(consiglio di circoscrizione)

イギリスの都市内分権の事例

Local Government Association

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